コラム

食品などを適切な状態で届けるには、商品の特性に合わせて保管・輸送中の温度を管理することが欠かせません。
なお、医薬品は製品ごとに定められた保管・輸送条件に従い、必要な温度や環境を維持する管理体制が求められます。
一方、食品などに3温度帯物流を導入する場合は、常温・冷蔵・冷凍に対応する設備費に加え、継続的な温度管理体制の構築も必要です。
本記事では、各温度帯の特徴や対応商品、使用する車両、導入時のメリットと課題、委託先を選ぶポイントまで詳しく解説します。
3温度帯物流とは、商品を常温・冷蔵・冷凍の3つに分け、それぞれの特性に合った環境で保管・輸送する物流の仕組みです。
例えば、缶詰や乾物は常温、生鮮食品や乳製品は冷蔵、アイスや冷凍食品は冷凍で管理し、商品ごとに温度帯を使い分けます。
一方、4温度帯物流では、常温・冷蔵・冷凍に定温などを加えて4区分で管理する場合がありますが、具体的な区分は事業者や商品条件によって異なります。
3温度帯物流では、常温・冷蔵・冷凍に商品を分け、それぞれに適した温度で保管・輸送します。
また、商品によって必要な温度や管理方法が異なるため、品質や安全性を保つには各温度帯を適切に使い分けることが重要です。
以下では、常温・冷蔵・冷凍の特徴と、それぞれで主に取り扱われる商品について詳しく解説します。
常温(ドライ)は、冷蔵や冷凍のような低温管理を必要としない米や乾麺、缶詰、菓子、調味料、日用品などを保管・輸送する温度帯です。
また、冷却設備を常時稼働させる必要がないため、低温物流より設備費や電力消費を抑えやすく、幅広い商品を効率よく扱える点が特徴でしょう。
ただし、常温品でも高温多湿や直射日光によって品質が低下する場合があるため、商品ごとの保管条件を確認し、必要に応じて温度や湿度を管理してください。
冷蔵(チルド)は、食品の鮮度や品質を保つため、0~10℃程度を目安に管理されますが、具体的な設定温度は商品や業界基準によって異なります。
また、生鮮食品や乳製品、惣菜などは品目ごとに必要な温度が異なるため、商品表示や委託条件に定められた保管条件を確認することが重要です。
したがって、倉庫や車両の温度を継続して記録し、積み込みや荷下ろしによる温度上昇を抑えながら、商品に適した冷蔵環境を維持する必要があります。
冷凍(フローズン)は、一般に-18℃以下で管理され、アイスクリームや冷凍野菜、冷凍肉、冷凍魚などを長期間保管・輸送する温度帯です。
また、低温を維持することで微生物の活動や食品の劣化を抑えやすくなり、品質を安定して保ちやすくなります。
ただし、温度上昇や冷凍焼けによる品質低下を防ぐには、倉庫や車両の扉を開ける時間を短くし、保管から配送まで安定した低温環境を維持してください。
3温度帯配送では、商品の特性に応じて冷蔵車や冷凍車などを使い分け、輸送中も商品に適した温度環境を保つことが重要です。
また、1台で複数の温度帯に対応できる車両を活用すれば、異なる商品をまとめて運び、配送の効率化にもつなげられます。
以下では、冷蔵車・冷凍車・冷蔵冷凍車の特徴や適した商品、輸送時に注意したいポイントを解説します。
冷蔵車は、生鮮食品や乳製品、加工食品など、低温で品質を管理する必要がある商品を輸送するために使用される車両です。
野菜や果物、牛乳、ヨーグルト、ハム、ソーセージなどを運ぶ際は、車両に備えた冷却装置で庫内を適切な温度に保ちます。
ただし、積み込みや荷下ろしで扉を長時間開けると庫内温度が上がりやすいため、作業時間を短くして温度変化を抑えることが重要です。
必要に応じて保冷シートなども活用し、輸送中の商品に適した温度環境を維持してください。
冷凍車は、冷凍食品やアイスクリーム、冷凍肉・魚、冷凍野菜など、低温環境を保ちながら輸送する必要がある商品に使用される車両です。
また、荷室には断熱構造や冷却装置が備えられており、外気温の影響を抑えながら、商品に適した庫内温度を保てます。
さらに、長距離輸送では温度記録装置などを活用し、輸送中の温度変化を継続して確認してください。
冷蔵冷凍車(マルチ温度帯車)は、荷室を仕切って異なる温度を設定し、冷蔵品と冷凍品を1台で同時に輸送できる車両です。
例えば、野菜や乳製品と冷凍食品を同じ配送ルートで運べるため、温度帯ごとに別の車両や便を用意する必要がありません。
また、異なる温度帯の商品をまとめて配送できるため、車両台数や積み替え作業を抑えやすくなり、物流コストや作業時間の削減にもつながります。
多品種の商品を複数店舗へ届ける場合でも、配送効率と品質管理を両立しやすい点が特徴です。
3温度帯物流は、商品の特性に合わせて温度帯を使い分け、保管から輸送までのプロセスを一貫して管理する仕組みです。
また、適切な温度管理で商品の品質劣化を抑え、在庫管理も適切に行えば、廃棄リスクや食品ロスの低減に役立つでしょう。
以下では、商品の品質維持や配送効率の向上に加え、食品ロスや環境負荷との関係など、導入によって期待できるメリットを解説します。
3温度帯物流とは、商品の特性に応じて常温・冷蔵・冷凍を使い分け、それぞれに適した環境で品質を維持する仕組みです。
例えば、冷蔵品や冷凍品を商品ごとに適した温度帯へ仕分け、保管から配送まで適切に管理することで品質の低下を防ぎます。
さらに、断熱設備や冷却装置を活用すれば、配送中の外気温の影響を抑えられ、年間通して安定輸送が可能になります。
保管から輸送まで適切な温度を維持することは、商品の品質を保ち、企業の品質管理を安定させるために不可欠です。
適切な温度管理によって食品の品質劣化を抑えれば、輸送中に傷む商品や販売前に廃棄される商品を減らせます。
また、廃棄量が減れば、仕入れや処分にかかる費用を抑えられるほか、生産や輸送に使った資源の無駄も減らせます。
ただし、食品ロスは需要予測や在庫、期限、販売条件など複数の要因で生じるため、温度管理だけで削減できるとは限りません。
温度記録と在庫状況を継続して確認し、商品ごとの管理条件を守りながら、発注や販売方法も見直すことが重要です。
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3温度帯物流は、商品ごとに適した環境を維持できる強力な仕組みである一方、複数の温度帯を並行して扱うため、設備運用や作業プロセスの管理が複雑化します。
しかし、安定した稼働を担保するためには、導入コストのみならず、日々の維持費(ランニングコスト)の最適化、適切な人員配置、および厳格な温度記録体制の構築が不可欠です。
以下では、3温度帯物流を運用するうえで把握しておきたい主な課題と、品質を維持するための注意点を解説します。
3温度帯物流では、常温・冷蔵・冷凍に対応した倉庫や車両、温度管理システムが必要となり、初期投資が大きくなりやすい点が課題です。
特に冷蔵・冷凍設備は24時間稼働させるため、電気代をはじめとするランニングコストも膨らみやすくなります。
コストを抑えるには、省エネ機器の導入や冷気を逃さない動線設計、電力使用時間の分散などが効果的です。
そのため、導入時の設備費用だけで判断せず、毎月の維持費や作業効率まで含めて長期的な視点でトータルコストを比較することが重要になります。
3温度帯物流では、倉庫内だけでなく、積み替えや配送を含むすべての工程で適温を維持しなければなりません。
倉庫でいくら正しく保管していても、トラックへの積み替え時や配送中に温度が上がってしまえば、商品の品質は落ちてしまうからです。
これを防ぐには、温度管理されたスペースで素早く積み替えを行い、輸送中も車両の温度管理機能や記録装置を使って徹底して管理することです。
出荷から納品まで切れ目なく温度データを確認できる体制を整えることが、流通全体の品質維持につながります。
3温度帯物流を安定して運用するには、自社の商品に合った温度管理と、必要な配送範囲に対応できる委託先(パートナー)を選ぶことが重要です。
ただし、委託先によって得意な温度帯や配送地域、品質管理の水準が大きく異なるため、料金だけで選ばないように注意しましょう。
以下では、自社の商品特性や配送条件に合う委託先を選ぶために、確認しておきたい主なポイントを詳しく解説します。
委託先を選ぶ際は、自社商品に必要な温度帯への対応可否だけでなく、具体的な管理方法まで把握することが重要です。
なぜなら、倉庫が仕入先や納品先から離れていると、輸送時間の延長によって配送費や温度管理の負担が増してしまうからです。
倉庫から各配送先までの所要時間や集荷時間を事前に確認し、希望する納品条件を満たせるか比較してください。
「取扱温度帯」と「倉庫立地」の双方を満たす委託先を選ぶことが、安定した品質と配送体制を維持する鍵となります。
関連記事:物流倉庫の選び方と注意点!最適な倉庫を見つけるコツを公開
委託先を選ぶ際は、自社の配送エリアをカバーし、各温度帯に対応した車両を必要数確保できるか確認することが重要です。
なぜなら、倉庫内が適温でも、輸送中に適切な温度を維持できなければ、商品の品質が低下するおそれがあるからです。
したがって、繁忙期の車両確保や、物量増加時の増車・代替輸送への対応力まで事前に確認しておく必要があります。
複数の温度帯を同時に運べる車両があれば、配送便を集約できるため、商品の品質を維持しながら配送効率も高められます。
委託先を選ぶ際は、温度・衛生管理の方法に加え、入庫から配送までの履歴を追跡できる仕組みがあるか確認することが重要です。
また、温度記録や入出庫履歴が保存されていれば、異常発生時に影響範囲や原因を特定し、迅速に対応できます。
さらに、定期的な監査や記録確認の実施状況、温度逸脱などが起きた場合の対応手順まで詳しく確認してください。
委託前にデータの保存期間や確認方法を把握し、継続的な品質管理体制が整っている会社かを見極めましょう。
3温度帯物流は、常温・冷蔵・冷凍を使い分けることで、食品をはじめとする商品の品質を維持しながら、安定して保管・輸送する仕組みです。
また、適切な温度管理で品質劣化を抑えれば、食品ロスの削減に役立つほか、配送業務の効率化にもつながります。
一方、設備投資や電気代などのコストがかかるほか、保管から配送まで一貫した温度管理を徹底する必要があります。
安定した物流体制を築くため、外部委託を検討する際は、取扱温度帯や倉庫立地、車両体制などを比較し、自社の条件に適合する会社を選定することが重要です。
この記事の監修者

川口 貴弘(かわぐち たかひろ)
株式会社アールジャパン 常務取締役/営業統括マネージャー
プロフィール
EC・通販物流代行サービスを提供する株式会社アールジャパンにおいて、常務取締役および営業統括マネージャーを務めるビジネスリーダーです。
通販物流の最前線で培った豊富な経験と知見を活かし、クライアント企業の物流戦略と業務最適化を支援しています。