コラム

共同配送は、複数の荷主や企業が貨物、車両、配送ルートを共有し、積載率の向上や走行回数の削減を目指す物流手法です。
物流コストやCO2排出量の抑制、人手不足への対応が期待される一方、料金設定、情報連携、責任分担などの調整も欠かせません。
そこで本記事では、共同配送の仕組みや配送方式、メリット・デメリット、運用時の課題と解決策まで分かりやすく解説します。
共同配送の全体像を把握し、今後の物流戦略に活かすヒントを得るために、ぜひ参考にしてください。
共同配送は、複数の荷主や企業が貨物、車両、配送ルートなどを共有し、物流を効率化する方法です。
積載率の向上や走行回数の削減が期待される一方、参加企業間の調整も欠かせません。
まずは基本的な定義、路線便との違い、注目される背景を確認しましょう。
関連記事:物流効率化法とは?改正の目的と荷主・事業者の対応策を解説
共同配送とは、複数の荷主や企業の貨物を1つの車両や配送網へ集約し、同じ地域や納品先へまとめて運ぶ仕組みです。
個別配送で生じやすい積載余力や重複ルートを減らし、車両、人員、燃料を有効に使うことを目的とします。
ただし、荷姿や温度帯、納品時間、費用分担などの条件が合わなければ運用は難しくなります。
参加企業が共通の目標とルールを定め、継続的に実績を確認しながら改善することが共同配送の基本です。
共同配送は、複数の荷主や企業が配送条件を調整し、貨物をまとめて運ぶ仕組みです。
一方、路線便は、運送事業者が構築した拠点間ネットワークや定められた運行経路を利用し、不特定多数の荷主の貨物を運びます。
どちらも混載が行われますが、共同配送は特定の参加企業が積載率や配送回数の改善を目的に設計する点が特徴です。
なお、路線便は既存サービスを利用しやすい一方、集配地域や締切時刻、運送事業者のサービス条件によって時間・経路の自由度が異なります。
共同配送が注目される背景には、トラックドライバー不足、労働時間規制への対応、燃料費や物流費の上昇、脱炭素化の要請があります。
また、EC市場の拡大に伴い、宅配や小口配送への対応が求められる場面も増えています。
なお、複数企業の貨物をまとめれば、積載率を高め、限られた輸送力を有効に使えるでしょう。
ただし、人手不足を単独で解消する方法ではないため、荷待ち削減や商慣行の見直しと併せて進めることが重要です。
共同配送には、貨物を1つの拠点へ集約して配送する方式や、車両が複数の拠点を巡回して集荷する方式があります。
荷量、配送先、納品頻度によって適した仕組みは異なるためです。
ここでは、代表的な配送センター集約方式とミルクラン方式、国の支援動向を解説します。
配送センター集約方式は、複数の荷主やメーカーの貨物を共同の拠点へ集め、仕分けたうえで店舗や納品先へまとめて配送する方法です。
同じ地域へ向かう車両を集約できるため、配送回数や店舗での荷受け回数を減らしやすくなります。
一方、センターまでの持ち込み輸送や保管、仕分け作業が追加されるため、拠点の立地や処理能力が重要です。
商品情報や入出庫予定、納品先別の仕分けルールを統一し、センター運営費を含めた全体コストで効果を判断しましょう。
ミルクラン方式は、1台の車両があらかじめ決めた複数の仕入先や拠点を巡回し、貨物を集荷して工場や物流センターへまとめて運ぶ方法です。
各仕入先が個別に車両を手配する場合と比べ、車両台数や入構回数を減らしやすくなります。
なお、安定した運用には、集荷時刻、荷量、荷姿、積み込み順序の標準化が必要です。
また、1つの拠点で遅れが生じると後続の集荷にも影響するため、遅延時の連絡方法や予備時間を含めて運行計画を設計しましょう。
国土交通省は、物流の効率化や持続可能性を高める施策として、共同輸配送、積載率向上、荷主間の連携などを支援しています。
また、実証事業や補助事業では、複数事業者による配送の共同化、データ連携、物流拠点の活用などが対象になる場合があります。
ただし、制度名、対象経費、公募期間は年度ごとに変わるため、恒常的に利用できるとは限りません。
導入を検討する企業は、最新の公募要領や公式資料を確認し、自社の計画が対象要件に合うかを判断しましょう。
共同配送では、複数企業の貨物を集約することで、車両や人員を効率的に使える可能性があります。
その結果、物流コスト、配送回数、走行距離、環境負荷の改善が期待されます。
ただし、効果は荷量やルートによって異なるため、以下では主な四つのメリットを具体的に確認しましょう。
共同配送では、複数企業の貨物を1台へまとめることで、車両費、燃料費、高速道路料金、ドライバー人件費などを分担しやすくなります。
積載率が低い便や同じ地域へ向かう重複配送を集約できれば、物流コストの削減が期待できるでしょう。
ただし、共同センターの利用料や仕分け費、システム費、調整業務も発生します。
削減効果は一律ではないため、導入前後の便数、走行距離、積載率、総費用を比較し、個別配送より全体最適になるかを確認することが重要です。
関連記事:物流コスト削減の方法とは?内訳や上昇原因から成功事例まで徹底解説
共同配送により同じ地域や納品先へ向かう貨物を集約すると、重複するルートや低積載の運行を減らしやすくなります。
また、納品車両の台数が減れば、店舗や倉庫での受付、検品、荷役の回数も抑えられる可能性があります。
さらに、配送情報を共有してルートや時間帯を調整すれば、車両の回転率向上にもつながるでしょう。
ただし、集約拠点での仕分けや積み替えが増える場合もあるため、輸送だけでなく荷役を含む工程全体で効率を評価する必要があります。
共同配送によって車両台数や走行距離を減らせれば、燃料消費量とCO2排出量の抑制が期待できます。
特に、同じ配送先へ複数企業が個別に運んでいる場合や、空車・低積載の便が多い場合は改善余地があります。
ただし、貨物を集約するために遠回りや追加の積み替えが生じると、必ずしも排出量が減るとは限りません。
導入前後の走行距離、積載率、燃料使用量を同じ条件で測定し、環境効果を客観的に確認しながら運行計画を見直しましょう。
共同配送は、複数企業が個別に車両を運行する場合と比べ、必要な便数や運転時間を減らし、限られたドライバーを有効に配置する手段です。
また、納品車両を集約すれば、荷受け側の検品や受付回数も減らせる可能性があります。
ただし、共同配送だけで人手不足そのものを解消できるわけではありません。
荷待ち時間の短縮、荷役の機械化、適正な運賃や労働環境の整備などと組み合わせ、ドライバー1人当たりの負担を抑えることが重要です。
共同配送は効率化に役立つ一方、複数企業の貨物や条件をまとめるため、管理や調整が複雑になりやすい仕組みです。
急な変更への対応、費用分担、情報連携にも注意が必要です。
ここでは、導入前に把握しておきたい4つのデメリットと、運用上の対策を解説します。
共同配送では、異なる荷主の貨物を同じ車両や拠点で扱うため、配送先、納品日時、温度帯、荷姿、取扱条件を個別に管理する必要があります。
情報が整理されていないと、誤配送や積み残し、破損、検品ミスにつながりかねません。
そのため、共通の荷札やバーコード、追跡番号を利用し、積み込み順序や保管場所を明確にしましょう。
また、異常が発生した際に対象貨物を速やかに特定できるよう、受け渡し記録や作業履歴を残すことも重要です。
共同配送は複数企業の貨物を1つの運行計画へ組み込むため、直前の追加注文、納品先変更、時間指定の変更へ対応しにくい場合があります。
なぜなら、1社の変更が積載順序や他社の納品時刻にも影響するためです。
そのため、導入時は変更を受け付ける期限、追加料金、代替便の利用条件などを事前に定めましょう。
また、緊急性の高い貨物は共同便から分け、臨時便や専用便を使う判断基準を設ける方法も有効です。
柔軟性と効率性のバランスを考えて運用する必要があります。
共同配送では、荷量や重量、容積、配送距離、納品件数などが企業ごとに異なるため、費用を公平に分担する基準づくりが課題になります。
また、積み込み順序や遅延時の対応、返品、破損時の負担など、細かな運用ルールも必要です。
協議を始める前に、共通の目的と評価指標を定め、費用の算定根拠を開示しましょう。
なお、参加企業だけで合意が難しい場合は、物流事業者や第三者の専門家を交え、中立的な立場で調整する方法もあります。
共同配送では、各社が受注、在庫、配送情報を異なる形式で管理していると、情報の集約や更新に時間がかかります。
ただし、必ずしも1つの共通システムへ全面移行する必要はありません。
既存システムを残し、共通のデータ項目や連携方式を定める方法もあります。
そのうえで重要なのは、貨物情報、納品条件、配送状況を正確かつ同じ基準で共有できる状態です。
導入時は、連携費用、アクセス権限、障害時の代替手順、個人情報や取引情報の管理方法も確認しましょう。
共同配送を継続するには、参加企業の選定、情報や業務手順の共有、費用・責任の合意が必要です。
条件の違いを放置すると、効率化より調整負担が大きくなる場合があります。
ここでは、企業間連携を円滑にし、安定運用へつなげる5つの課題と解決策を解説します。
共同配送のパートナーには、配送エリア、納品先、荷量の発生時期、商品特性などに共通点がある企業が適しています。
なぜなら、条件が近いほど、ルートや車両を共有しやすくなるためです。
一方、価格や顧客情報など機密性の高い情報も扱うため、情報管理や契約順守への信頼性も確認しなければなりません。
開始前に目的、対象範囲、期待効果を共有し、小規模な実証から運用品質を確かめましょう。
定例会議や評価指標を設け、課題を早期に共有する仕組みも重要です。
共同配送では、伝票、荷札、検品、積み込み、納品などの手順が企業ごとに異なると、作業ミスや確認時間が増えます。
そのため、最低限そろえるデータ項目や作業ルールを決め、現場で同じ基準を使えるようにしましょう。
また、すべてのシステムを1つに統合する必要はありませんが、受注番号、貨物情報、納品先、進捗状況を連携できる仕組みが必要です。
導入前にテスト運用を行い、例外処理や障害時の手順も確認すると、安定した運用につながります。
共同配送を始める際は、荷主や納品先へ、配送頻度、到着時間、荷扱い方法、問い合わせ窓口などの変更点を説明し、合意を得る必要があります。
なお、効率化を優先して一方的に条件を変えると、顧客サービスの低下や取引上のトラブルにつながりかねません。
そのため、まずは現行条件と必要性を確認し、変更によるメリットと制約を具体的に示しましょう。
合意内容は書面化し、試験運用後の意見や実績を基に見直します。
共同配送では、参加企業間でルート、料金、荷量、納品条件、システム仕様などを協議するため、導入前後に時間と費用がかかります。
この調整コストが削減効果を上回ると、継続は難しくなるでしょう。
対策として、最初から対象地域や商品を広げ過ぎず、条件が近い企業や路線で実証を行います。
また、意思決定者、会議頻度、変更手続きを定め、協議事項を標準化することも有効です。
物流事業者や中立的な事務局が調整役を担う方法も検討しましょう。
共同配送では、集荷、保管、仕分け、輸送、納品を複数の企業が担う場合があり、破損、紛失、遅延が発生した際の責任範囲が曖昧になりやすいでしょう。
契約書や運用規程で、各工程の管理主体、損害の負担、顧客対応、保険の適用範囲を定める必要があります。
また、貨物の受け渡し時刻や状態、作業者、配送状況を記録すれば、原因を確認しやすくなります。
そのため、緊急連絡先と報告手順も共有し、問題発生時に迅速に対応できる体制を整えましょう。
共同配送は、複数企業の貨物をまとめて運ぶことで、積載率の向上、配送回数や走行距離の削減、物流コストやCO2排出量の抑制を目指す仕組みです。
一方で、荷物の管理、急な変更への対応、料金や責任範囲の調整、情報連携など、企業間で解決すべき課題もあります。
したがって、導入時は自社の荷量や配送先、時間指定、商品特性を整理し、条件の近いパートナーと小規模な実証から始めましょう。
配送センター集約方式やミルクラン方式などを比較し、便数、積載率、総費用、納品品質を継続的に検証することが重要です。
この記事の監修者

川口 貴弘(かわぐち たかひろ)
株式会社アールジャパン 常務取締役/営業統括マネージャー
プロフィール
EC・通販物流代行サービスを提供する株式会社アールジャパンにおいて、常務取締役および営業統括マネージャーを務めるビジネスリーダーです。
通販物流の最前線で培った豊富な経験と知見を活かし、クライアント企業の物流戦略と業務最適化を支援しています。